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酒×地域 明利酒類株式会社がif design projectにかける想いとは?

if design project第2期に参画していただいたパートナー企業である明利酒類株式会社。江戸末期に創業し、約160年以上続く、水戸の老舗総合酒類メーカーです。

今回は、そんな明利酒類の5代目社長、加藤高蔵さんにお話を伺ってきました。

明利酒類5代目社長、加藤さん。「梅酒と酒の資料館 別春館」にて。


確かなモノづくり力とベンチャーマインドを合わせ持つ、老舗企業

茨城県は、大自然の恵みと豊かな5つの水系のもと、関東一の酒造数を誇る「酒づくり」の県だということはご存じでしょうか?

日本最古の酒蔵と噂される須藤本家。

今や世界でも販売されるクラフトビール、常陸野ネストビールで有名な木内酒造

など、多くの酒蔵を擁している茨城県。

また、酒造数だけでなく、その味も確かな評価を受けており、平成30年全国新酒鑑評会では、茨城県過去最高の12蔵が金賞を受賞!入賞数も金賞数も関東一を誇っています。

数だけでない、その実力もしっかりと裏付けされているのが「茨城県のお酒」なのです。

そんな茨城県の酒蔵の中でもトップクラスの規模を持つ総合酒類メーカー明利酒類は、「全国新酒鑑評会」で13回もの金賞を受賞している「副将軍」や2008年全国梅酒大会で日本一に輝いた「百年梅酒」など、たしかな実力を誇る老舗企業。

様々なお酒をつくる明利酒類の敷地はとても広大


そのモノづくり力は、全国的にも高い評価を得ており、「明利小川酵母」、「M310酵母」などの酵母や醸造アルコールなどを全国の酒蔵へ向けて販売していたり、各地の蔵に直接技術指導に行っていたりするほど。このように自社でつくった酵母やアルコールを他の酒蔵に販売する企業は全国的にも珍しいとか。

 

中でも「明利小川酵母」は、日本醸造協会が、お酒の安定的確保につなげるため、優良な清酒酵母を純粋培養し、全国の酒蔵に提供している「きょうかい酵母」の1つである「きょうかい10号酵母」にもなっています。

この酵母は、全国およそ250蔵で使われるようになり、全国新酒鑑評会で金賞をとっているお酒の中には明利酒類の「小川酵母」が多く使われているそうです。

技術指導や酵母を提供している全国のお酒たち


このようなモノづくり力があり、正統な日本酒や評価の高い梅酒を造っている一方で、それに胡坐をかくことなく、さまざまな酒づくりに挑戦しているのが、明利酒類のもう1つの特徴。

例えば、

クラフトジン、クラフトウォッカとして「和ジン」、「和ウォッカ」、

全国2位の生産量を誇る茨城の芋である紅あずまやそば、全国1位の生産量である干し芋、栗などを使った焼酎をつくっているほか、

漁獲量日本一を誇る茨城のサバを美味しく食べるためにつくられた鯖専用のお酒「SABA de CHU」、

大ヒットアニメとなった「魔法少女まどかマギカ」のイラストを担当した蒼樹うめ先生がパッケージデザインした「うめワイン」などの変わり種お酒まで、

実に多種多様な、ここでしか作られていないお酒を多く開発しているのです。

多種多様なお酒を開発する明利酒類


そんな確固たるモノづくり力を誇り、多くの酒づくりに挑戦し続ける明利酒類。

一体この企業にどんな課題があるのでしょうか?

柱となる酒づくりとファンづくり

近年、酒類の消費量は年々減少傾向にあると言われています。

理由は、人口減少や少子高齢化、若者の酒離れなど、さまざまな要因があげられておりますが、茨城県では更に、47都道府県の中でも、酒類の消費量が比較的低い方であることや、地酒の消費量が低いということも言われているよう。

また、茨城県は通販での酒類購入額が全国一位!なんていうデータもあるほど。酒屋の数が全国でも少ないことや内食の機会が多いことなども要因の1つのようですが、茨城県民自体が、茨城のお酒のことをあまり知らないということもあり、加藤社長はこのように言います。

参考:https://www.jadma.or.jp/tsuhan-kenkyujo/kenmin2017/vol1/q1.html

「現在、最も売上げが高いのは、百年梅酒。明利酒類は、さまざまな酒類の提供をしており、多品種小ロット生産は強みであるものの、柱となるものがないといった弱みもあると思っています。百年梅酒だけでない、もう1つの柱をつくり、もっともっと茨城のお酒を知って欲しいです」

芋焼酎といえば、サツマイモの生産量日本一でもある鹿児島県。そんなイメージがありますが、茨城県もサツマイモの生産量は全国第2位。

また、鹿児島県に比べて、食用のサツマイモの生産量は高いといった特徴があります。芋焼酎用につくられた芋ではなく、元来食べて美味しいものとして、育てられた「茨城の芋」を使った、美味しい芋焼酎をつくりたい。加藤社長にはそんな想いもあります。

「サツマイモに限らず、茨城県の産品を使い、明利酒類のお酒を通して、茨城の良いものを伝えていきたい」

お酒や茨城への想いを語る加藤社長


また、通常、卸売業者からお酒を買われ、その後、どの小売店や居酒屋で売られているかわからないところも課題とのこと。どんな人が、どんな感想を持って、明利酒類のお酒を飲んでいるのか、コアなファンづくりを通し、知っていきたいといった想いも。

そんな想いから、明利酒類のお酒を伝え、水戸市の観光振興にもつながる「梅酒と酒の資料館 別春館」をつくったり、お客様と一緒に行う芋掘り体験、地域住民に開かれた蔵開きを行ったりするなど、直接お客様と繋がる機会をつくり続けており、地域になくてはならない企業になることを思い描いてもいます。

毎年3月に行われる蔵開き


if design projectでは、このような想いを受け「明利酒類のお酒を軸としながら、茨城のお酒を広く伝え、ファン化させるか」を「自分たちならどうするか?何ができるか?」を頭に置きながら、考えていきます。

if design projectに期待すること

if design projectにおいては、上記の課題に対する提案を求めているなかで、加藤社長は、こんな方々に来て欲しいそう。

「時代がどんどんと変わっていくなかで、人の趣味嗜好の変化も早くなっているように感じています。総合酒類メーカーと呼んでいただいている中で、もっと今の人のニーズに合わせた酒づくりを行っていきたいと思っています。そういう意味では、お酒好きであるかどうかに関わらず、次の時代を担うべき世代にぜひ参加してもらいたいです」

加藤社長は、明利酒類の社長でもありながら、水戸観光コンベンション協会の会長でもあり、酒づくりだけでない、地域の未来をとても考えている方。

そんな加藤社長に、if design projectを通じて、茨城のお酒を軸にしながらも、地域の未来まで描き、提案できたら、とても面白そうです。

明利酒類のお酒をはじめ、茨城県のお酒は、まだまだ伸びしろだらけ!

これを考えるためには、流通やデザインの在り方、お酒自体の伝え方、飲み方の考え方やお客様とのコミュニケーションの取り方など、あらゆる面でのアプローチやアイデアが必要だと思います。

もちろんお酒好きであることに越したことはありませんが、そうではなくても、多様な方々と1つのテーマに対して共創しあう、中々会社ではできないプロセスを楽しみたい方、ぜひif design projectにご応募ください!

ここでの提案を皮切りに、もしかしたら茨城のお酒がまた注目されるキッカケとなるかもしれません!