NEWS&TOPICSお知らせ

食×地域 あいきマロン株式会社企業インタビュー

if design projectの食のパートナー企業、あいきマロン株式会社。

今回のプロジェクトに参画いただいた代表取締役の西野歩さんと取締役の稲垣さんに笠間の栗の魅力についてお話を伺ってきました。

※稲垣さんが先代の社長で、いまは娘さんの西野さんが社長として会社を運営されています。

農業王国の茨城。茨城の栗が生産量日本一って知っていましたか?

茨城は全国でも有数の農業県。様々な野菜や果樹が栽培されている地域です。その一つに栗があります。茨城の栗の生産量が日本一にも関わらず、茨城県民も実はそのことに知らない人が結構いるんです。

特に笠間エリアは県内でも代表的な栽培地。盆地特有の昼夜の寒暖差のある気候や、通気性に優れた花崗岩質の土壌や黒土を多く含む土壌は、栗栽培に適しています。事実、栽培面積・収穫量は全国の約23パーセント。約3,740トンの収穫量があります。(※農林水産省作況調査第1報平成28年度)

一口に栗といっても、他の果樹と同じように味やかたちが異なり、「丹沢」「筑波」「大峰」「銀寄(ぎんよせ)」「ぽろたん」「岸根(がんね)」等々、多様な品種があります。

栗の旬は9月〜11月。例年9月末頃に「かさま新栗まつり」が開催され、栗農家だけでなく地元陶芸家や菓子店舗が協力し、老若男女をもてなしています。栗好きには堪らないイベントが大きな規模で開催されているものの、そこにも実は課題があったのです。

※参考│https://www.pref.ibaraki.jp/bugai/koho/kenmin/syun/20170926.html

地域の特産品で、地元の未来を考えたい

今回、if design projectでご一緒するあいきマロンさんは、もともとは栗農家ではありませんでした。

2008年のリーマンショックの煽りで、装置設計と機械部品加工を主とした会社は新規事業を立ち上げ「栗事業部門」として発足しました。焼き栗の機械を作ることは、本業の分野で難しいことではなかったのですが、品質の良い栗を安定して栽培することに苦労がありました。栗樹は高木化することで管理が難しくなり、品質と収穫量が落ちている現状を目の当たりにして、一年発起。友人の果樹専門技術員の協力を得て、「栗の矮化と結果母枝更新化方法」と言われる独自の栽培技術を生み出し、2011年に特許を取得しました。2014年に栗事業部を発展させ、あいきマロン株式会社としました。

2016年に、社長は娘である西野さんが引き継ぎ、先代の稲垣(西野さんの父)さんは取締役として栗の生産管理の役割を担うようになりました。

特許を取った「栗の矮化と結果母枝更新化方法」は、栗の樹の高さを2メートル位に抑え、幹から栗の実ができる枝を4本~5本にすることで、大粒で糖度の高い栗が生産でき、また安定した収穫量が望める技術。この技術に全国から問い合わせが来ていますが、稲垣取締役は、首を横に振ります。

「笠間で育んできたものだから、笠間で栽培するなら技術は無償で提供したい。」また「栗本来の味を知ってほしい。同時に笠間のいいところも知ってほしい」と地域への想いを語ります。

笠間の栗を知名度日本一へ

栗の生産量日本一の茨城県。そしてその中でも有数の栗栽培地である笠間市という事実がありますが、ゆくゆくの未来を考えたとき、やはり栗そのものの質の向上で、「笠間の栗は日本一だね」と認知されることが必要だと考えています。

そのためには、3の課題をクリアしないといけません。

1つ目は、「笠間の栗」自体の伝え方。そもそも栗で有名なのは、小布施。長野県の栗生産量は全国的に7位と突出して高いわけでもないのに、1位の茨城県より断然有名です。この「笠間の栗」を小布施の栗にも負けないような知名度をつけていくための「伝え方」をマーケティング、プロモーション、あるいはコト起こし等、様々な観点で何が足りないのかをリサーチし、「伝え方」を考える必要があります。

2つ目は、地域ブランディングのあり方。笠間の栗ですが、生産地としては、笠間市の中の岩間地区が生産地としては地元では有名なんです。ただエリアとしては世間一般に認知されやすい「笠間」地域としてのブランディングとなっているため、観光で訪れた人は笠間駅周辺に訪れます。すると笠間の栗を食べる機会が少なかったりします。近い地域なんですが、そういった地域連携をもう少し考えて取り組んでいきたい。

3つ目は、栗の質の担保。生産量日本一である茨城県で、「愛樹マロン」は栗そのものの味を楽しんでもらうことにこだわりを持っています。加工するにしても素材の味を活かして、砂糖は控えめにした加工品で勝負したいと話していただきました。「愛樹マロン」を日本で有名な日本料理店、フランス料理店やイタリア料理店で使ってもらえるような食材に高めていきたい。またブランド化するためには、生産量を増やしていくことが必修なので、「愛樹マロン」をつくりたいと思う生産者を増やしていきたい。

この3つの課題をクリアしたとき、名実共に、茨城県の栗は日本一になれるんじゃないかと思ってます。

if design projectに期待すること

今回のif design projectifを通して、上記の課題を視野に入れて、どうやったら笠間の栗がもっと有名になり、名実ともに栗の生産地として持続可能な地域として成り立つかを考えられるプランが生まれると嬉しいと笑顔で話す代表取締役の西野さん。

新しい商品開発ではなく、栗農家になりたい人や、地域としての栗生産者との連携、PRなど市と共に成長できるプランが生まれることに今回のif design projectに期待を寄せていただています。

「食」のブランディングや商品の「伝え方」に興味がある、農業やまちづくりに興味がある、食を通じたコミュニケーションに関心が高い方、ぜひif design projectにご応募ください!